中絶~僕は君を殺したい~
9‐6 中庭



「こうして一緒にきゅうけいすることもなくなるな」



藤田さんがそう言った。 いつもなら二人だが、今日からは小田がいる。



「なんかここ落ちつきますね。」



小田が言うと藤田さんはニコッとほほえんだ。



「きゅうに独立ってなにかあったんですか?」



ぼくが言う。



「急じゃないんだ。ずっと前から決めていた。先月にゆうししてくれる企業があらわれたんだ。ぜいきんたいさくのためだからって利益はほとんど考えなくていいって。こんないい話はないよ」



「へぇ。じゃあぼくも行こうかな?」



「社員をやとうほどの資金はないよ。しきちもここの五分の一もないだろうしね。」



「なんか藤田さんがいなくなると心配ですよ。」



「きみはもうりっぱに出来るはずだよ。それにさいごの教えだけどこうはいの前で弱音をはかない方がいい。」


「全然大丈夫ですよ。弱音はいてくれた方がじぶんには自信になります」


と小田が言った。


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