中絶~僕は君を殺したい~
11-4 断る








「すまないが、そんなやつには売れないんだ」





男がそういった。




ダンスフロアを見下ろすソファに座りながら話している。





立ちにはピンクの手袋をした派手なおばさんが腰をふっていた。外国人が見上げてカモン、とさけんだ。





「どうして?」





「俺はこれで食っているんじゃないんだ。だから客はえらぶ。書いてあっただろう?」





藤田さんがもらったくすりのラベルのURLにアクセスするとこの人のサイトがあらわれた。人助けをしたい、との思いで活動を開始する、と書かれてあったことを思い出す。




「ぼくは困っているんだ」




食い下がる。




「EDならバイアグラでも買えよ。俺らが売っているのは合法ドラックだけだ。」




「立たないわけじゃないんだ。」




子供の話をした。




子供を殺してからねむれなくなったことも




あきにふれられなくなったことも




なりふりかまってられなかった。




とにかくこの苦痛からかいほうされたかった。



「おまえはやくぶつに依存しているだけだ。逃げるんじゃない」



お前に何がわかるんだ・・・ぼくはにらみつけた。



あいてがみぶりてぶりで話をつづけるほどに



ぼくは追いつめられていくような気がした。




どうせ・・ぼくがわるいとでもいいだいんだろ?




どうしてそんなことになるんだ、と言われるとぼくのいかりはおさえられなくなった。




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