新・私と君とのオベシャニエ
「あ、そうだ、琉丘君は何組?」

「僕かい?僕は一組だよ。城口君は?」

「偶然だね! 一緒だよ!」

一緒のクラスかぁ。

何故かテンションが上がってしまう。

琉丘君は、左手をズボンのポケットにずっといれっぱなしで僕と話す。

「そうなのかい。僕は今から教室に向かうけど城口君はどうするんだい?」

琉丘君は、僕をじっと見て微笑みながらそう言った。

「なら一緒に行っても良いかな?」

「構わないよ。それと、僕は沙戯那で良いよ」

相変わらず微笑んだままだ。

「なら僕も雷で良いよ」

「そうかい。フフフ」

「アハハハ」

初めての友達……できたみたいだ。

お互い笑いながら教室に向かった。

「そうだ。一組に神流木葉って女子生徒いないかな?」

「いるよ。ただいつも窓の外ばかり見ているけどね。……彼女を知っているのかい?」

階段を登りながら話す。

「うん。良かった……やっぱりここに居たんだ」

「……?何の事かよく分からないけど、良かったね」

僕のたるんだ笑顔に、沙戯那君は合わせて微笑んだくれた。

良い人だなぁ……。

「雷君は、先生と共に来なくて良かったんだね」

教室のある階に着き僕たちは廊下を歩く。

「うん。別に構わないだってさ。校長先生が言うには、教室には好きなタイミングで入れって」

「好きなタイミングか。成る程ね」

……?

何が成る程なんだろう……。

沙戯那君が教室の前で立ち止まった。

「ここが一組だよ」

そう言ってドアを開き、沙戯那君が入って行った。

僕もそれに続いて入ると、ポン! という音がした。

「うわ!」

びっくりしたぁ……な、なんだ?
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