君の手を繋いで

兄貴と日向が付き合い始めたからといって、俺達の関係が激変したということはなかった。


日向は以前と何も変わらず話しかけてきて、よく話もしたし、むしろ、うちに遊びにくることも多くなった。

勿論、兄貴のところだけど……


でも、なりふり構わないことには、変わりなかったんだ。



こんなことなら、俺がさっさと日向に告っておけばよかった。

そう思うこともあった。


でも、そうしたって、無駄に終わっていたんだろう。


日向が兄貴の告白にOKしたということは、日向も兄貴のことが好きだったということだ。

俺は、どっちにしてもだめだったんだ。



でも、俺にとっては、これが一番よかったのかもしれない。

日向が他の誰かのものになるよりは、兄貴のものになってくれる方が、俺はずっと日向を近くで見ていられる。


兄貴なら、日向を任せても大丈夫。

そう思っていたのに……



何で……何で死んじまったんだよ……兄貴……







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