君の手を繋いで
幼なじみ
あっつ……
目を覚ますと、夏の蒸し暑さがじわじわと身体に染み渡ってくる。
Tシャツが汗で湿っている。俺はベッドから起き上がって着替えた。
カーテンを開けて隣の家の部屋を見た。
俺の家の隣が日向の家で、ちょうど俺の部屋から日向の部屋が見える。
今、日向の部屋は空だ。日向は吹奏楽部に入ってるから、多分学校だ。
俺は、一階に下りて、Tシャツを洗濯かごに放り込んで、リビングに行った。
リビングでは、母さんが掃除機をかけているところだった。
「あんた今起きたの? もう十二時過ぎてるわよ」
母さんは、俺の姿を見るなり、掃除機をとめて言った。
「夏休みだからって寝すぎよ。もう少しちゃんとしなさい」
「分かってるって。……母さん、メシは?」
母さんの小言を流して俺はきいた。
「お昼のご飯が炊けてるから、自分でやって適当に食べて」
そう言ってまた掃除を始めた。
俺は台所に行って冷蔵庫をあさった。昨日の晩メシの残りが少々。
ろくなもんねえな……
って言うと、だったら食うな、って母さんがキレるだろうから黙っておく。ないよりはいい。
俺はラップのかかった皿と麦茶を取り出して冷蔵庫を閉めた。
「あ、勇太」
母さんが再び冷蔵庫をとめて、声をかけてくる。
「八月の十日、お墓参りに行くからちゃんと空けといてよ」
「……ああ。分かった」
俺は台所のカレンダーを見た。
カレンダーはまだ七月のものだけど、もう月末だ。
……八月十日。
そうか、もうすぐなのか。