君の手を繋いで
亀裂
昔から、日向だけが俺と兄貴の区別をつけて、間違うことなく、俺と兄貴を呼び分けていた。
俺と兄貴は一卵性双生児だから、顔も体型も声も、仕草や癖でさえ瓜二つで両親でさえ間違える。
なのに、日向は一度だって間違えたことはなかった。
昔、兄貴と不思議に思って、何で分かるんだよ? って、聞いてみたことがある。
すると、日向はキョトンとして、
「だって、亮太は亮太、勇太は勇太だもん。分かるよ、それぐらい」
そう言った。
結局なんかよく分からなかった。
でも、日向には何かしらで俺達の違いが分かっていて、俺と兄貴は全く違う人物として認識されているのだと、そう思っていた。