君の手を繋いで


俺は、何の思い違いをしていたんだろうか……



日向が俺と兄貴の区別をつけられるのは、日向にだけは、俺と兄貴が全くの別物に映っていたのだと、そう思ってきた。


だから、兄貴がいなくなろうと、日向は俺には俺として接してくれる。

そう思っていた。


でも、いくら区別がつくからと言って、俺が兄貴と似ていないように見えていたわけではない。


むしろ、俺ら三人は小さい頃から同じ時間を共有してきたんだ。

日向にとって俺は、日向が兄貴のことを思い出させる、一番の要素だということには変わりないんだ。



そうだとしたら、俺は、日向につらい思いをさせるだけのものでしかないのか?


俺はこんな風に日向を傷つけることしかできないのか……?




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