君の手を繋いで
さっきの夢を見て、気付いてしまったことがある。
俺は窓の方に顔を向けた。
日向の家の窓は、やっぱりカーテンが閉まっていて、日向がいるかどうかすら分からなかった。
兄貴は、日向を独り占めしたくて、日向に自分の気持ちを伝えた。
俺は、日向が困ると思って、三人が気まずくなると思って、自分の気持ちを伝えられなかった。
そうだと思ってた。
だけど、違うんだ。
俺は、日向と同じだった。
「バカだよな、俺……」
小さく呟いた。
無理だということはとっくに分かっていても……
俺は、いつまでも、変わらない三人で、一緒にいたかったんだ。
それが、気持ちを伝えた兄貴と、伝えられなかった俺の、大きな違いだった。