君の手を繋いで
「……嫌だったの」
やがて日向はぽつりと言った。
「え?」
嫌って、何が。
やっぱり、俺と居ることが?
「亮太が死んじゃってから……居なくなっちゃってから、私、本当にしちゃいけないことをしたんだって思った。それまで自分のために亮太の気持ち利用して、勇太のことは切り捨てておいて、そのくせ三人がいいって、贅沢なことを考えて……」
日向の頬に、雨ではない雫が流れるのが見えた。
「亮太が死んだのは、私のせいなの。私が亮太の気持ちを利用して付き合わなかったら亮太が死ぬことはなかった。きっと……私が中途半端なことをしたから、バチが当たったんだよ」
「ひな……」
「だから……亮太が居なくなったから、今度は勇太と、なんて出来なかった。私がまた中途半端なことしたら、また同じことになる気がして……私、独りで寂しいのは嫌だったけど……」
日向がゆっくりと顔を上げた。
その瞳からは、俺が思った以上にたくさんの涙が溢れていた。
「私のせいで勇太まで居なくなっちゃうのは嫌だったの! 私はもう寂しい思いしてもよかったから、一生独りぼっちのままでもよかったから……勇太が居なくなるのだけは、もう嫌だったの!」
日向の叫ぶような、痛いぐらいの気持ちを聞いて、俺は日向のことを抱き締めていた。