君の手を繋いで


「もし日向がそう思うんなら……日向が俺の側にいてくれ。兄貴の代わりに。多分、兄貴が居なくて寂しいのは俺のほうだから」


きっと、独りとか、寂しさに慣れていないのは、俺の方だったんじゃないかと思う。


俺には、産まれてから、兄貴が居たから。

一緒に産まれてきた片割れが居るから、それが居なくなるまでは、無条件に独りじゃなかった。


だから、独りになったことはなかったし、日向みたいに、誰かの為に自分は一人でも、と思うことは出来なかった。


「日向。約束するよ。俺は、日向と一緒にいる。俺が生きてる限りは、ずっと。だから日向も、生きてる間は、俺と一緒にいてほしい」


ずっと、っていうのは、何なんだろう。


ずっと、って聞くと、行き止まりのない永遠のような気がする。


でも結局は、俺という気持ちがあるだけの、日向という命があるだけの間なんじゃないかと思う。


だから、俺の『ずっと』は明日までかもしれないし、数十年先までなのかもしれない。

それは分からない。


でも、ただ一つ分かるのは、俺はどんなに短くても、長くても、変わらずに日向と居ることを願っているということ。



「勇太……」

日向の細い腕が、俺の背中に回る感触がした。


「私も、居たい」

ぐっと、日向の腕に力が入った。


「私も、勇太と一緒にいたいよ……ずっと」



やっと聞けた。


日向の、本当の気持ち。



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