君の手を繋いで
いつの間にか、雨脚は弱まっていたようだった。
顔を上げると、そこに人影があった気がした。
「兄貴……」
思わず声に出すと、日向も反応してそっちを見た。
その時には、もう人影なんて、その跡形すらなかった。
俺達の頭上に、光が差した。
俺と日向は揃って上を見上げる。
もう雨はやんだ。
雨雲から太陽が姿を現す。
雨に濡れた木の葉が太陽で輝いて、秘密基地を光の輪で囲んでいるようだった。
兄貴が、
『しっかりやれよ』
と言った気がした。