感方恋薬-かんぽうこいやく-
第3節 で…でた……
「まったく、今の若い者は、そんな外
国の呪術しか使えんのか?」
老人のしわがれた声がキッチンに響く
と同時にあたしの心臓は確実に止まった。そして背中から血の気がすーっと抜けていく感覚…
体は完全に固まってしまった。
「だ…だれ?」
そう、声を出すのが精一杯だった。
少なくとも、今聞こえた声は家族の声では無かった。あたしの家は両親と弟と私の4人暮らし、そして聞こえた声は父親よりも、もっと歳を取った老人の声の様に思えた。