感方恋薬-かんぽうこいやく-
「どういう事なのよ、これは」


詰め寄るあたしに向かって、爺は髭を弄びながら、のほほんと答えた。


「ほう、そりゃ当たり前の結果じゃ」


「当たり前?当たり前って、どういう事よ!」


あたしは爺に掴みかからんばかりの勢いで抗議したが、等の爺は右手で頬をぽりぽりと掻きながら平然と答えた。


「そんな事を言われても相思相愛の人間に惚れ薬を使った処で、何の変化も有る訳無いじゃろう…」


「へ?」


「貴子、おぬし媚薬と惚れ薬を混同しておらんか?」


「へ…へぇ?」


あたしは力無く爺に答えた。
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