感方恋薬-かんぽうこいやく-

         ★


弟は秘密を握られているとは思ってもいない様な表情で家に戻って来た。

奴は、おそらく着替えたらこのリビングに来るに違いない。


そうしたら作戦決行だ。


さて、いくら搾り取れるだろうか。家の小姑は手強いところを見せておかねば示しが着くまい。


「止めておけ貴子。人の恋路を邪魔すると馬に蹴られてあの世行きじゃぞ」


あたしは、どっかりと座っていたソファーから10メートル位飛び退いた。


爺が、いきなりあたしの鼻面2センチ位の処に現れたのだ。


「な、なんの用だ爺!あたしは呼んで無いぞ!」
< 159 / 327 >

この作品をシェア

pagetop