感方恋薬-かんぽうこいやく-
「あ、悪用なんてしないわよぉ」


と、一応明るく爺に返事をしては見たが、爺にはあたしの考えが完全に見透かされている様だった。爺はあたしをじっと見詰めるとちょっと俯いて何か考えて居る様に見えた。


「わ、わかったわよ。なんにもしない、天地天明に誓う。それで良いでしょ?」


「ふむ、まぁ、御主がそうまで言うのなら信じるとしよう」


そう言うと爺はふっとあたしの目の前から姿を消した。


なんとなくあたしは、爺の説教で熱が冷めた様な気がし居た。
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