感方恋薬-かんぽうこいやく-
「あ、あい、何でしょう」


あたしは、心の底から愛想笑いをして幸に答えた。


おそらく、外から見ると、あたしの表情は、かなり引き攣って見えた筈だ。それが証拠に、


「どうしたんですか、貴子さん、心なしか顔色が優れない様な…」


幸があたしの顔色を見て心配そうに話す。あたしは、必死で愛想笑いを崩さない様にして、


「ん?べ…別に、何も、なんでもないよ」


そう答えるのが精一杯だった
< 184 / 327 >

この作品をシェア

pagetop