感方恋薬-かんぽうこいやく-

第6節

「じゃあ、御了承いただいたと言う事で」


そう言うと幸は嬉しそうに、あたしの前から立ち去り花歌交じりに自分の席に付いた。


あたしは幸の機嫌が一気に良くなってしまったので断る機会を失ってしまった。


ん~でもまぁ、この薬の特徴は、科学技術だけで作る物では無い、この事は幸も理解出来て居ない筈だ。


その一転に賭けよう。


実験が失敗する事を。


マッドサイエンティストが何かを思いついた時に現れる雷雲が、東の空にちょこっと顔を覗かせたので、あたしはそいつをじろりと一睨みした。
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