感方恋薬-かんぽうこいやく-
これが同情に値しなくて何が値すると言うのだ。


強いて上げれば、あたし位の物だろう(と、いう発言を聞いて居た爺は姿こそ現さなかったが貴子の後ろで完全否定の姿勢を崩さなかった)


「貴子さん、有難う御座います。この御恩は一生忘れません」


紀美代は頬を紅く染めて席から立ち上がると三つ網を揺らしてあたしに向って、ぺこりと頭を下げた。


おいおい、そんな目立つ事したらあたしが目立たない様に渡したのが丸バレになってしまうじゃないか。


あたしは彼女に落ち着く様に言うと席に座らせて、この件に関しては他言無用と言う事を彼女に告げると、あたしも自分の席に着いて授業が始まるのを待って居た。
< 197 / 327 >

この作品をシェア

pagetop