感方恋薬-かんぽうこいやく-

第9節

そしてその日、幸は訳の分からないオーラを出しっ放しだった。


最初の英語の時間も数学の時間も現国の時間も。


教師達は彼の熱気に押されて、ぶつぶつと何事かを呟きながらノートを埋めて行く作業を止めろとは言えない状態だった。


勿論休み時間も昼休みも全くその熱気は冷める事は無かった。


そして授業が終了すると一目散に修理中の科学室横の薬品保管庫目指して走って行った。


そして、どうやら、その日は薬品保管庫から出て来る事は無かったらしい。


何故なら一番最後に教室に人間技を超えたスピードで飛び込んでくるのに、今日は一番初めに教室に入った人が既に幸が教室に居た事を確認して居るからだ。
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