感方恋薬-かんぽうこいやく-

第4節

「他人なら良いって言うの?」


「それなりの、成果を上げて居ればな」


そこまで、声が聞こえた処で、突然爺の気配が消えた。同時に弟の部屋の扉が開いた。


「姉貴、誰か居るの?」


弟は扉から頭だけ出して廊下をぐるりと見渡した。


突然出て来た弟に今度はあたしは驚いた。


「ん、ん~、いや別に誰も」


あたしは、明後日の方向を見て、何とか誤魔化そうと必死になった。
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