感方恋薬－かんぽうこいやく－

それを聞いた紀美代の頬は更に紅に染まっていった。


「でも、引き返すなら今よ！」


「え？」


紀美代は驚いた表情であたしを見た。


「良い？紀美代が思ってる人は凄く危険な人物なのよ」


「危険？ですか？」


「そう、危険。なにしろ科学室を爆破しても平気で無傷で戻って来たり、訳の分からない薬で実験したり、そのうち得体の知れない生物でも作るんじゃないかと思う位の危険人物。マッドサイエンティスト予備軍なんだから」


あたしは、身振り手振りを加えて紀美代の説得に乗り出した。


一人の可憐な乙女が食虫植物の様な男の手中に落ちそうに成っているのを見逃すわけには行かない。