感方恋薬-かんぽうこいやく-
あたしはこういう相談をされたら後ろから力任せにぐいぐいプッシュするのだが相手は幸だからな。


もし、紀美代が悪の組織の女幹部の格好で現れても何も怖くも何とも無いぞ。その恰好でアキバの歩行者天国に放り出したら、むしろ黒山の人だかりでオタク達の恰好の餌食に成ってしまうのは目に見えている。(それ以前に警備の警官が、すっ飛んで来ると思うが)


「でも、あれはお勧めできないよ。見た目と中身のギャップが激しすぎるもの」


「そ、そうですか…でも」


紀美代はあたしから視線を外すと、うつむきながら呟いた。


「でも?でも何?」


って態々確認しなくたって、次に出てくる言葉なんて簡単に予想が付くじゃ無いか。

ねぇ?
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