感方恋薬-かんぽうこいやく-

第5節

        ★


あたしは次の日の朝、職員室の「四角」に、又、巻物を預けると教室に向かった。


「貴子さん!」


教室に入るなり、いきなり幸があたしの前に現れた。


どうやら、昨夜は帰宅せずに、科学準備室に泊まり込みをしたらしい。


そのせいで髪の毛はぼさぼさ目の下にはクマがくっきり。


しかし幸は絶好調のハイテンション。


「あ、ああ、お早う幸、早いのね…」


幸の勢いに押されてあたしは少し引き気味に朝の挨拶をした。


「貴子さん、今度こそカンっぺきです!完全に薬の精製に成功しました。つきましては、孝子さん、実験台に成ってください」
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