感方恋薬-かんぽうこいやく-
「四角」は分からない事が有ったら、何時でも来なさいと、あたしを励ましてくれたが、御免、違うんだ先生…確かに古典の依頼だったけど、これはどちらかと言うと、科学の分野に入るんだ。


などと心の中では、一応謝りながら学校を出て家路に付いた。


途中バスの中で、訳文を読んで解毒薬を作るのに必要な材料を自宅近くの商店街で買い揃えた。


そして、その日の深夜、あたしは再び台所で鍋を火にかけ材料を入れながら呪文を唱えつつ、解毒薬の作成に入った。


「ふむ、中々様に成ってきたのう」


爺の気配が背後から感じられた。


「おや、珍しく褒めてくれるんだ」


「いや、今の時点ではと言う意味じゃ。これからもっと複雑な呪術を覚えねばならんからのう」
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