感方恋薬-かんぽうこいやく-

第7節

あたしは、くるっと振り返ると、爺に向かってきっぱり言った。


「爺、勘違いしないでね、あたしは呪術師になろうなんて本気で思ってる訳じゃ無いからね」


それを聞いた爺は、酷く寂しそうな顔をして


「なんじゃ、折角、ここまで出来る様に成ったんじゃから本格的に始めて見てはどうじゃね…」


「何と言われても、あたしにその気は有りません。何時も得体の知れない現象に悩まされるなんて、まっぴら御免です」


そうあたしは言い切った。


すると爺は後ろで手を組むとカクリと首をうなだれいじけた様に右足で足元の小石を軽く蹴飛ばした。


こつ~ん。


一体、何処から出したんだ、そんな都合の良い小石なんか。
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