感方恋薬-かんぽうこいやく-

第8節

幸はあたしの様子を見てがっくりとうなだれた。


「また修行し直して出直します」


「幸、あんまり無理しなくても良いからね!」


爺に教えて貰った解毒剤の効果は完璧だった様だ。あたしは幸の薬の効果を全く感じる事は無かった。


そしてあたしはとぼとぼと自分の席に向かって歩く幸の後姿を見送った。


その時、ちょっと信じられない光景をあたしは目撃した。


なんと紀美代が幸に向って歩き出したのだ。


そして、ぼそぼそと何か一言二言言葉を交わすと紀美代は自分の席に戻って行った。
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