感方恋薬-かんぽうこいやく-

第3節

「ああ、そうですね。あまり煮詰まってしまっては進む事も進みませんね。今日は放課後素直に帰って寝てしまいます」


「そうね、それが良いわ」


幸は、そう言っては見た物の残念そうにがっくりと肩を落とすと、とぼとぼと自分の席に向かって歩いて行った。


「さて…と」
あたしは授業の準備に鞄から教科書やらを取り出そうとした時、左斜め前方から突き刺さる様な視線を感じた。


発信源はは誰有ろう紀美代である―――うむ。


彼女の視線があたしに突き刺さっていたのだ。
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