感方恋薬-かんぽうこいやく-
でもあたしの勝ちは見えて居る。
昨日作った薬が有れば、あたしは勝ったも同然だ。
そう勇んでバスに乗り、校門を潜って校舎に入り自分の教室に辿り着く。前の扉から教室の中を窺うと、珍しい事に幸は既に教室に居た。
あたしはこそこそと後ろの入口から教室に入り、自分の席に着くと鞄の中から薬瓶を取り出して、手首とうなじに、少量塗りつける。それが済むと、何食わぬ顔で幸の前に行き
「おっはよ~」
と、声を掛ける。
これで決まりの筈だ。
チェックメイトよ紀美代。
だが、幸は何時もと全く変わらずに
「あ、お早う御座います貴子さん」
と、何の変化も見せずにあたしに挨拶した。
昨日作った薬が有れば、あたしは勝ったも同然だ。
そう勇んでバスに乗り、校門を潜って校舎に入り自分の教室に辿り着く。前の扉から教室の中を窺うと、珍しい事に幸は既に教室に居た。
あたしはこそこそと後ろの入口から教室に入り、自分の席に着くと鞄の中から薬瓶を取り出して、手首とうなじに、少量塗りつける。それが済むと、何食わぬ顔で幸の前に行き
「おっはよ~」
と、声を掛ける。
これで決まりの筈だ。
チェックメイトよ紀美代。
だが、幸は何時もと全く変わらずに
「あ、お早う御座います貴子さん」
と、何の変化も見せずにあたしに挨拶した。