感方恋薬-かんぽうこいやく-
「それでね、彼、池袋辺りに買い物に行くから一緒に付き合ってくれないか、だって。(きゃ!…はーとがどばっ)」


「あ…あぁ…良かったね則子…」


あたしの目の前を乾いた風が吹いて根無し草がころころ転がっている風景が浮かんだ様な気がした。


「じゃ、詳しい事は月曜日ね。それじゃーねー」


ぷつん…


則子からの電話が切れて、あたしの電話からは、ツーという音だけが聞こえて来た。


「なんで、効くんだ?あの薬が…」
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