感方恋薬-かんぽうこいやく-

その得体の知れない爺さんは、ちょっと遠くを見詰める様な仕草をしながら両手を組みつつ白く長い鬚を右手で弄りながら答えた。


「わしはな…」


「あんたは?」


「わしは…この家に取り憑く悪霊じゃ」


そう言って、そいつはあたしを見詰めると、にやりと笑った様な感じがした。


「で、出やがったな!」


あたしは手近に有った造花が挿してある花瓶を手に取りそいつに向って投げつける構えに入った。


「…というのは冗談で」


「は?」


「わしから見れば、あんたは玄孫。血縁関係に有る者じゃよ」


そういうと、そのじいさんは、かっかっかと笑い声を上げた。
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