感方恋薬-かんぽうこいやく-
おっと、これを噛みしめて居る訳には行かない。


あたしは大急ぎで1階の洗面所に駆け降りると、何時もの様に覇気の少し足りない弟が、ごしごし歯を磨いて居る。


「うおっゃ~」


あたしは、力一杯弟の背中を度付いた。


「げほ!」


その振動で弟は一言大きく噎せた。


「な…なひふるふんだぁ」


弟は口の中の泡を飛ばしながらあたしに抗議した。
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