感方恋薬-かんぽうこいやく-
とりあえず乗ってしまえばこちらのものだ。


良く見ればあたしと同じ制服姿の人が何人か居る。


と、いう事は、このバスでも間に合うと言う事だが、あたしは性格上、最低5分前には約束の時間に、その場所に着かなければ気が済まないタチなのだ。


「あれ、貴子さん。珍しいですね」


気い覚えのある声に呼ばれてあたしは、辺りを見渡した。


「こっちです。こっち」


声の主はあたしの右後ろに居た。


そして声の主は幸だった。


「あれ、幸はいつもこの時間のバスなの?」
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