感方恋薬-かんぽうこいやく-
「いや、特に無いんだけどさ、何となく聞いて見たくなった」


幸の視線は一瞬宙を泳いだ様に感じたが、あくまで気の性と思った。


いや、思いたかっただけかも知れない。


男の子が女に好き嫌いを聞かれたら、確かに返答に困るだろう。


しかも相手は、経験不足の男子高校生だ。


もし、彼女が居て「はい」と答えたら聞いた相手を傷付ける可能性が有るし「いいえ」と答えたら、過度な期待をさせる事になる。


それに、嘘をついてしまう可能性だってある。


男の子としては答えにくい質問なのだろう。
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