【企】ハルの音色
「広い草原のイメージがありました」
そう、広がっていくもの。
「尾高さんはね、亡くなる寸前までこの曲を書いてたんだ。本当に素敵な曲だよね」
窓の外、ほとんど散ってしまった桜を見ながら、美那さんが言った。
「なんか桜が散っちゃってるの見ると、悲しいよね。けど……散るところが美しくもあるんだよね。日本人独特の感性……だよね」
やっぱり。
やっぱり美しいと思った。
美那さんに思わず見とれてしまっていた俺に、いきなり美那さんが話しかけてきた。
「学校、楽しい?」