無口な先輩
屋上
失恋 *Yui*
「無理無理。君の顔、タイプじゃないから〜。」
12時47分
私、笹岡 唯(ササオカ ユイ)
は、こんな訳の分からない理由で振られた。
学校の昼休み、勇気を振り絞って呼び出し、告白したのに。
目の前にいる
吉田 颯太(ヨシダ ソウタ)
という男に。
それを顔がタイプじゃないからって・・・。
しばらく黙っていた私に、追い討ちをかけるようにこの男は
「あれ?泣いちゃったの〜?きもいなぁ・・・。」
きもい・・・。
今、確かにそう言った。
こんな人だったのね。
この人は。
目の前にいる吉田くんは、同じクラスになった事なかったけど委員会で一緒だった。
優しくて、真面目で王子様と呼ばれる彼。
私が見るかぎりでも、委員会の仕事をしっかりとこなす人だった。
確かに私も他の女と同じで彼に惹かれていった。
でも、それは全て幻だったかのように彼の本性を見てしまった。
「な、んで・・・?」
あまりに突然の変わりように頭がついていかない。
「顔が無理って言ってんだけど。それより、お腹空いたからもういい?」
「・・・・・はい」
そう言うしかなかった。
< 1 / 14 >