無口な先輩
「よ、・・・し・・・だくん?」
喉に何かが詰まって上手く声が出せない。
・・・なんで?
「吉田ー早くしろよー」
何人かの女の子が吉田くん優しいと小さな声で話している中、男の子が大声で吉田くんに向かって言った。
「あぁ、先に行ってて。」
吉田君を待っていた男の子は、吉田君のその言葉を聞いて家庭科室から姿を消した。
他の人達もいつの間にかいなくなってて静かに時計の音だけが響くのがわかる。
「本当、どんくさいなぁ。」
しばらくして、さっきまでの優しい笑顔の吉田くんもういない。
いるのは本性を見せて、冷たく見下した態度の男だけだ。
「・・・・・・」
「おまけにせっかく僕が拾ってあげたにも関わらず、お礼すら言えないなんて。」
「まぁ・・・君に言われたところで吐き気がするだけだけどね」
「・・・・」
次から次へとトゲのついた言葉が私に突き刺さってきた。
なんで私は吉田くんにここまで言われるんだろう。
こんなにも嫌われるような事を私がした?
浮かびあがった疑問と突き刺さった言葉で頭がいっぱいだ。
言い返すこともまだ散らかっているペンを拾うこともできない。
なにもかもいっぱいで動かない・・・。
はやく・・・。
早くここから立ち去りたいのに。
どうしよう・・・。
足が動かない。