この胸いっぱいの愛を。
†プロローグ†
小さい時から、
ずっと一緒にいた。
一緒にいることが、
当たり前だと思ってた。
楽しい思い出の中にはいつも、
将兄がいたから。
「将兄と結婚する!!」
って毎日のように言ってたし、
そうなれば良いな、って、
本気で思ってた。
でも、それは昔の話。
そんなことを思ってたのは、
まだ幼かった頃の私。
今ももちろん、
将兄のことは大好き。
憧れの対象だし、
一種の目標でもある。
でも、当然ながら私の
将兄に対する「好き」の気持ちは、
一般的に「兄妹愛」とか
「家族愛」とか呼ばれるもので。
小さい頃に言ってた
「結婚したい」っていう部類の
愛情ではない。
当たり前だよね。
私達、兄妹なんだもん。
そんな感情、
絶対に抱いちゃいけない。
私は普通に恋をして、
普通に結婚をして、
子供をたくさん産んで、
幸せに暮らすんだ。
将兄と祐兄に負けないくらい
素敵な人に出会って、
二人に自慢してやるんだから!!
───そう、思ってた。
……知らなかった。
知ってるわけがなかったんだ。
将兄の本当の気持ちも、
私達がこれから、
どんな道を歩いていくのかも──…。
.