この胸いっぱいの愛を。
▼第4章 〔嘘と真実〕
・疑惑
〜桃香side〜
「一週間……か」
私は屋上で一人佇み、小さくため息を吐いた。
─────あの後。
問題を起こした生徒五人は退学処分ということになった。
きっともう、二度と会うことはないだろう。
そして駿河先輩は…………
一週間の、停学処分。
退学にならなかったのは多分、将兄が必死で先生を説得したから。
自分のせいで先輩が退学になるのは耐えられないって言ってた。
そうなるくらいなら自分が辞めた方がましだ、とも。
何はともあれ、駿河先輩が学校を辞めなくて済むことにホッとした。
私も、将兄と同じ気持ちだったから。
だってあれは、将兄のことを思うが故の行動だったに違いない。
そこまで将兄のこと大事に思ってくれてるなんて、妹としても凄く嬉しいことでしょ?
だから駿河先輩には、なんとしてでもこの学校に残ってほしかったんだ。
「ホントに、よかった」
そう呟いたのと、ほぼ同時に。
「神田、さん?」
聞き慣れない声で名前を呼ばれて、私は驚いて振り返った。
.