この胸いっぱいの愛を。
・不器用な恋
「えっと……」
いきなり本題に入られて、私は困惑した。
何て切り出せば良いのかわかんないし……
「もしかして、告白?」
笑いながら冗談っぽく言う駿河先輩。
告白、だなんて………
「冗談、言わないでくださいよ」
私も笑いながらそれに返した。
ちゃんと笑えてるかな、私。
───────だけど。
次に駿河先輩が口にした言葉は、信じがたいものだった。
「俺は別に、アンタとなら良いけど」
「え……」
頭の中が、真っ白になる。
なん、で………?
だって、先輩が好きなのは……
「なぁ……
俺と、付き合ってよ?」
耳元で甘く囁く先輩に……
免疫のない私は、目眩を覚えた。
駿河先輩の顔が、段々近付いてくる。
私、キス……されるの?
ファーストキスなのに……
イヤ………
こんなの、イヤだよ……
「やめて!!!」
バシッ。
乾いた音が、二人きりの部屋に響いた。
その音で、ハッとして我に返る。
私、もしかして………
先輩のこと、殴っちゃった!?
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