この胸いっぱいの愛を。
・ライバル
(やっぱり、居間に行こう)
行って、確かめるんだ。
この気持ちが、嫉妬なんかじゃないってことを。
立ち上がると、目眩がして倒れそうになる。
壁に手を置いて体を支え、私はゆっくりと歩き出した。
部屋を出て、階段を一段ずつ降りていく。
途中で目眩が酷くなって何度も立ち止まりながら、私はようやく居間の前まで来た。
楽しそうな話し声のせいだろうか、起きた時から感じていた頭痛が、激しくなったような気がする。
なんだか入りづらくて、ほんの少しだけドアを開けて様子を伺った。
将兄と彼女さんは、私に背を向けて座っている。
祐兄はその正面にいるけど、話に夢中で私に気づく気配がない。
勇気を振り絞って、祐兄を呼ぼうと口を開いたが……
「どっちから告白したの?」
(――――――!!)
祐兄が投げかけた定番とも思えるような質問に、私は口をつぐんだ。
「ふふふ、教えてほしい?」
祐兄と親しげに話す彼女さん。
(―――聞きたくない)
「それはねー……」
(聞きたくない!!!)
「え、ちょ、桃香!?」
最後に聞こえたのは、焦りを含んだ祐兄の声。
その声を背中に受けて、私は……
―――家の外に、飛び出した。
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