この胸いっぱいの愛を。
・兄の優しさ
「やっぱりここに来ると落ち着く〜!!」
私達の目の前に広がるのは……
五つのテニスコート。
そう。
私は男子テニス部のマネージャーで、
将兄はその部長なのだ。
「こら、桃香!!
あまりはしゃぐと怪我をするぞ!!」
「大丈夫だって!!」
将兄はコートの外から、
走り回る私に忠告をした。
「……全く。
俺はもう部室に行くぞ」
「了解ー」
適当な返事をして、
私は再び両手を広げて走りだした。
にしても将兄、
ホントに心配性なんだから。
これくらいで怪我するわけないのに。
そんなことを思った矢先───……
「うわっ!!」
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