卒業-バイバイ先輩-
「お??」

先輩がポケットに戻そうとしたあたしの手を見た。

「同じじゃん」

それがあたしの『傷』のことだってのは、すぐに解った。

あたしは、右手で

先輩は、左手で

同じ方の手ってより、嬉しかった。

対みたいで、ペアみたいで。

傷にすら喜びを感じる自分に、若干引く。



こんなちっちゃいことでも、嬉しいぐらい好きなのに。


もうすぐ、この喜びは無くなるのに。




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