卒業-バイバイ先輩-
「祐樹のカノジョ?」
「冗談やめてください・・・」
顔を思い切り歪める失礼祐樹の頭を思わず筆箱で一発殴るあたしは、とても可愛げがなかったと思える。
「ははっ・・・元気だな」
笑った顔を眩しくて。
余計に暑苦しかったのを覚えてる。
そっから先輩を意識しはじめ、見てはときめき見てはときめきで、とにかくいつの間にか好きになってましたってやつ。
でも未だ名前呼ばれたこともないし、自分で名乗ったこともない。
もしかしたら先輩はあたしの名前知らないのかもしんない。
『後輩』としか呼んでもらったことがない。
でも、それもちょっと自慢だった。
『後輩』と呼ばれる後輩は、あたしだけだから。