芸能人×一般人【恋愛物語】
「何?」


彩乃の冷たい声に最後の悪あがきをしてもムダだって思った。


だけど、最後に一回だけ彩乃を抱き締めて、彩乃の温もりを体に染み込ませたかった。


「最後に一回だけ、抱き締めてもいい?」


そう言って返事を聞かずに彩乃を抱き締める。


彩乃の匂いと温もりを忘れないようにと…。


一度も振り向くことなく玄関を出ていった彩乃。



ごめんな。
俺、彩乃の気持ちに全く気づいてやれなかった。


どんな気持ちで、腕を組んで街を歩くカップルを見ていたんだ?


俺と付き合ってなかったら…って考えてたのか?



< 115 / 209 >

この作品をシェア

pagetop