水の中の鳥籠
エピローグ
鳥籠の鳥は夢を見る。

この狭い籠の世界から飛び出す夢を。

目の前に広がる世界を夢見る。

すぐそこに広がっているのに、そこを飛ぶことは許されない。

自分は一生この籠に縛られ、出れない運命なんだ。

そう思うからいっそう夢を膨らませる。



もし、ここから出られたら

もし、目の前の世界を飛び回れるのなら

もし、自分が自由なら



夢はいつまで経っても夢。

思っているだけでは何も変わらない。

自分がそれに働きかけない限り。

外に出たときに初めて知る"自由"に震えあがるだろう。



そして初めて知るだろう。

"自由"の中には危険が伴うということを。

餌とするものを探し出すのは一苦労だ。

いかに今までが楽な暮らしだったことか。



たま戻るのもいいかもしれない




だが、鳥は知らない。

ぶら下がっている籠がいつ何によって落ちるかも知れないことに。

確率は少ないかもしれないがないとも言えない。

どっちにしろ、外と中どちらにいても危険はつき物だということだ。

そんなことは鳥には知る由もない。


--end--
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