水の中の鳥籠
「あ、ちょっと資料室行っていいか?」

何か思い出したようにディールは笑うのを止めた。

「何か探しもの?」

「人の成り立ちって、知りたくないか?」

「知りたい!」

「知りたくない!」

コウとセラの声が重なった。

もちろん賛成したのがセラで反対したのがコウだ。

「2対1で決まりだな」

満足そうなディールの声にコウはあからさまに嫌な顔をしたもののディールに着いていく。


これがまさか、コウの好奇心に火をつける事になるなんて話題をふったディールは知りもしない。

もちろん、当の本人までも。


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資料室というのは名ばかりで実際そこにはコンピューターが置いてあるだけだ。

資料になる紙切れ一枚すらなく殺伐としている。

ここのアカデミーの在学生なら誰でも使える所だ。

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