砂漠の王と拾われ花嫁
私にはお兄様の結婚にどうのこうの言う資格はない。


莉世も黙ってスープを飲み始めた。


飲みながら考える。


先ほどタヒール大臣と会ったと言ったよね。


タヒール大臣は私が告げ口していないか確かめに来たんだ。


酷い男・・・。


そして何度か顔を合わせたことのあるファティマを思い浮かべる。


真っ黒な艶のある長い髪、瞳もラシッドのように真っ黒。


ちょっと肉付きが良い肢体はこの国の男性の好みどおりでメリハリの利いた肢体は毎日、専門の施手師(エステシシャンのような人間)で香油を塗られていると聞いたことがある。


教養やダンスも見事と言う話だ。


剣の舞ではなく、両手に小さな楽器を持って鳴らしながら腰をくねらせる。


ベリーダンスのようなものだが、彼女が舞えば高貴な雰囲気がその場を支配する。



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