砂漠の王と拾われ花嫁
「そうです だから腕を離してください・・・」


男らしい爽やかな香りを思いっきり吸い込んでしまう。


否が応でもラシッドを意識してしまう。


わたし・・・おかしい・・・。


「気分でも悪いのか?呼吸が荒いな?」


莉世が意識しているのを分かっているのか分かっていないのか、ラシッドが莉世の顔をじっと見る。


「お願いです 腕を離して」




「殿下、姫君とお戯れになるのはおやめ下さい」


戸口に控えていたアーメッドが言葉をかけた。


アーメッドの声にハッとしたのはラシッドではなく莉世の方だ。


アーメッドが部屋にいて一部始終見られていた。


恥ずかしい・・・。


ラシッドの腕の力が緩んだ隙に莉世は寝室へ逃げたのだった。



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