砂漠の王と拾われ花嫁
「殿下、リセ様は妹君ですぞ?行動を慎みください」


莉世を抱きしめて寝る事は数え切れないほどあった。


だが、今日のように不意に自分の腕の中に閉じ込めたくなったのは初めてだ。


「殿下は欲求不満なのです 今夜、遊女を手配させましょう」


アーメッドが言うとラシッドは眉根を寄せた。


「アーメッド、余計な事をするな!欲求不満なのはお前の方だろう?」


ラシッドは立ち上がると部屋を出た。





部屋を出て行く先は厩舎。


気持ちが落ち着かないラシッドはガラーナを思いっきり走らせたかった。


厩舎にラシッドが姿を現すと馬番の少年が慌てて深くお辞儀をした。


「ガラーナの用意を」


カリムは言われたとおりガラーナに鞍をつけようと動いた。


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