砂漠の王と拾われ花嫁
「お兄様・・・・お帰りなさいませ」


ラシッドは莉世の目の前に優美な身のこなしでガラーナから下りた。


「来ていたのか」


ラシッドは莉世にそっけなく言う。


お兄様・・・。


たった一言の言葉が寂しい。



前ならば抱き上げてガラーナの背に乗せてくれたのに・・・。



それを見たアクバールがシラユキの手綱を引きながら莉世に近づいた。



「姫君、姫君のシラユキをお借りしていました いつもながらに良い馬でございました ありがとうございます」


戦うものの厳しさを兼ね備えた表情は少し柔らかかった。


「シラユキを運動してくださってありがとうございました アクバール様」


莉世は沈みがちな心を隠して言った。




< 114 / 491 >

この作品をシェア

pagetop